あた〜らしい春が来た♪
 

「新婚さんバトン?」


     2
…と言うか、1の続きというか



C やっと起きてきた旦那様になんて声をかける?

それは元気よく溌剌と、
トレーニングウェア姿でご町内を軽く駆けて来たブッダが
アパートへ戻ってきたのは30分後くらいだろうか。
もちょっと早起きした通常モードだと、
そのまま近所の大川沿いのコースまでという遠駆けをこなすのが常だけど、
さすがの今日は少々寝坊したのでウォーミングアップレベルで収めたらしく。
ただ単に自分のリズムなり体調なりのせいというだけでもなかったところが、
何とも彼らしいのだが、それが判るその前に。

 「…いえす?」

上がりつつ小声で声を掛けたが、
やはりやはり反応もお返事もなく。
やれやれという軽い苦笑を口許に浮かべると、
汗を拭ったタオルを手を洗いがてらにざっと下洗い。
そのまま、ウェアを手早く脱いで、
押し入れダンスから出しておいた
アンダーウェア代わりのTシャツをますはかぶり着て、
その上へにトレーナー、ボトムにはGパンという一式へと着替えてしまうと、
昨夜の風呂帰りに着替えた一式が
二人分放り込まれてある洗濯機へウェアとタオルを追加して起動させ。

 “さて。”

炊飯器が静かにお仕事中なのを確かめつつ、
今朝のお味噌汁はどうしよう、大根とわかめでいいかなぁ。
昨夜のかぼちゃの煮物は気に入ってもらえてたなvv
あ、このキュウリ早く使わなきゃだ…などなどと、
冷蔵庫を覗いて段取りを組み立て。
玉子とわかめと大根を取り出して、
流しでボウルに水を張り、生わかめを塩出しにつけつつ
その他の下ごしらえや調理に取りかかり……

 「…イエス、朝だよ起きて。」

台所の物音が美味しそうな匂いの盛り上がりとともに止まったのはフィニッシュの合図。
そこからさすさすと畳をほのかに鳴らしてやって来る、
お行儀の良い足音と気配とへ、
実はもう起きていたイエスがワクワクしもって待っておれば、
とさんと布団の間際に正座した大好きな気配がこちらを見下ろし、
やさしい手で掛け布団をゆすゆすと揺すってくれて。

 “すぐさま反応するのは、待ってましたって感じかなぁ。”

だったら次からは言われずとも起きなさいとか思われるかしらと、
羽毛布団の下、毛布の襟にお鼻までを隠しつつ微妙なことを逡巡しておれば、

 「イエス、今日は雑貨屋さんにお手伝いにいくんでしょう?」
 「…っ☆」

あ、そうだったと
自分の約束事だというに、今頃思い出すところが何とも彼らしい。
あっと思い出したそのまま、両手で掴んでた毛布ごと、掛け布団をぱたんとおり返せば、
反応がよかったことへあらまあとその瑠璃色の双眸を見開いたブッダが、
しょうがないなぁとやんわり笑ってくれて。

 「起きた?」

わざわざ訊いてくれるところがまた、甘いというか優しいというか。
見下ろす格好だからか、長い睫毛が少し下を向いていて、
淡い影が深色の瞳にかかっているのが潤みを濃くして見せてて綺麗。
ふくよかな唇には柔らかな笑みが塗られていて、
それがややたわめられた双眸と一緒になると、
懐深い、頼もしいくらいの慈愛を一身に受けてる優越感に浸れて、

 “うわぁ〜〜vv”

こんな贅沢ってあるだろか、いやない!なぞと、
反語表現レッスンワン、もしくは独りツッコミなんてのを、
ついのこととて脳内で展開しちゃう、
こちらも新婚さんモード絶好調のヨシュア様だったりするのだが。
それを言ったら、

 「いえす?」

起きたよと合いの手のように無邪気なお返事が返ってこないのへ、
ありゃ?と小首を傾げたブッダの側は側で。

 「あ…。////////」

下から無造作に伸ばされた、少し大ぶりな骨格の手のひらが頬に触れたのへ、
触れたという事実が 微妙に遅れて実感となったほど、何でか遅れての反応となってたり。
というのが、

 “なんて綺麗な目をするの。/////////”

ブッダはブッダで、
イエスの双眸がたたえる淡い玻璃色の印象的な色合いが大層気に入りで。
まだ少し眠いのか、ゆるく開いて睫毛の陰を吸った格好の瞳へ見入っていたせいか、
伸ばされた手へは 不意を突かれた感があり。
寝起きの少しばかりまったりと暖かな手のぬくもりに、
朝の外気で冷えてたの
手際のいい段取りのせいでまだ戻り切ってなかったそれが、
ほわんと温められて…そのまま頬も赤くなる。
指の先が耳へも届いてて、

 「い、いえすぅ。///////」

とはいえ、振り払うのは乱暴だし、身を避けちゃうのも何だか大仰。
真っ赤になって “あのあの”と、優しいスキンシップのご挨拶を寄せてきた伴侶様の悪戯へ、
それはちょっとと含羞みを見せれば、

 「ああ、ごめんね。早く起きなきゃだよね。」

これがよく練れた古女房なら、
浸ってる場合ですかと、でこピンの一発でもされたところ。
まだまだ初々しい反応で 困っているらしいところを見せられて、
甘えてる場合じゃあないねと思い直したヨシュア様だったものの。
困らせてごめんねと大人げないことを詫びる、
そんな格好で鷹揚そうに構えたものかと思いきや。

 「…あのねあのね?」

何か甘えたいらしい言いようを付け足したいようで。
するりと下ろされた手を名残惜しそうに見送りながらも
“んん?”と物といたげな瞬きで続きを促せば。

 「あのね? ちうしてって言ってくれたら起きる。」

 「……はい?///////////」

さて、ここで問題です。(おいおい)
ちゅうしてくれたら起きると来るのかと、
文言の途中で見越してしまい、胸の奥が とくんとしかけたところへの、

 「言ってくれたらって…。////////」

イエスとしては無理強いにならぬように気を遣ってくれたのかな、
でもでも “して”なんて口にするのも何かあのその…////////と。
福耳の先まで真っ赤に染めつつ、お膝に置いた白い手も赤くなりつつ、
朝っぱらからの煩悶へ、
ううう〜〜〜〜〜っと唸ってしまわれた釈迦牟尼様だったようでございまし。


 さて答え合わせです。


そのいち
何てこと言い出すのとやや逆切れで怒りつつ、
照れ隠し丸出しの態でイエスへ布団をかぶせてキッチンへ立ってゆく

そのに
もうもうイエスったら困ったさんだなぁと、
真っ赤になりつつも もじもじと目いっぱい照れつつ
身をかがめて顔を寄せて来、
“キスしてください”と囁いてvv
癪だったのでと そのままおでこにちうをしてくれる。
含羞みのあまり、螺髪がほどけて、
丁度いいカーテンになったので
イエス様がお返しだよと 口許へのちうを返したりしてvv

そのさん
そのままブッダ様が固まること30秒。
苦笑をし、冗談だよと言いかかったイエスの上へ、
どこからともなく桃やら杏やらの実がぼたぼたぼたぁっと
ひとかかえは降ってくる奇跡が起きる。



 「私としては その二がいいなぁvv」
 「イエスってば…。////////」





  もちょっと続く。(笑)



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  *今年のイースターは、
   春分の日が3月20日で、最初の満月が23日なので、
   何と3月27日だそうです、早っ

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